20. 政治と徒善・徒法

 徒善(とぜん)は以(もっ)て政(まつりごと)を為(な)す能(あた)はず、徒法(とほう)は以(もっ)て自(みずか)ら行(おこな)ふ能(あた)はず-孟子(もうし)-という名言がある。折角平和だ、中立だ、親善だ、進歩だと、善いことを言ってみたところで、冷嚴な現実に的当しない徒(あだ)なことは政治にはなるまい。政府が嚴格に施行する勇気もなく、奸民が遵法する気もない法令(徒法)を作ってみたところで、実績があがるものではない。
 戦後日本の政治は久しく一時逃れで済まして来たが、漸くごまかしのきかない局面に追い詰められてきた。識者も従来はとかく「或(あるい)は志を励まさず、或は坐して運を待つ」-護良(もりなが)親王上奏文-であったが、これからは到底そういう一時逃れはゆるされぬ。
                                                     (憂 楽 志)