29.  一利を起すは一害を除くに如かず
    一事を生やすは一事を減ずるに如かず(耶律楚材)


 何か新しくやろうと考えると、良い事ばかり考え、うまいことを考え乍ら手を打つ。然し大概は失敗する。一利を起そうと思えば、その為に害となるもの、妨げとなるものを除かないと利が利とならぬ。反って害となるものである。然し功名心の旺盛な人間、多欲な人間に限って利を起すことばかりを考えている。自分では利を起すつもりになっているが、段々に弊害を作ってしまう。或所までゆけば弊害の方が強くなる。日本の産業がそうである。この言葉の通り、一利を起すは一害を除くに如かず、一事を生やすは一事を減ずるに如かずです。日本列島を改造するという利を起す為には、根本的な害を如何に除くかである。整地をし、基礎条件を充分に整えてかからなければどうにもならないことになる。虫の良い利益だけを並べたてて宣伝するのは一番有害である。
(日本はどうなるか どうするか)